お歯なしのお話
Posted By Dr. Feelgood on 2012年11月7日
患者さまに
“少し歯周病が進んでしまいましたね”
そう伝えると
『あら!昔は歯が良いことが自慢だったのにぃ
歯周病って現代病ですか?』
そんなお答えが帰ってきました
いやいや そんな事はありません
ということで いろいろ調べてみました
人類と歯周病との付き合いは大変古く
旧石器時代の早期ネアンデルタール人(エーリングドルフ人)の顎の骨にも
歯周病の痕跡が認められます
また最近では、猿人(オーストラロピテクス・アフリカーヌス人)の骨にも
歯周病が見つかりました
猿と猿人の違いは、直立歩行と火の使用ともいわれますが
まさしく火を使うようになって以来
人類は歯周病に悩まされ続けているといえるのです
古代エジプト時代になると、歯周病はかなり一般的な病気となったようです
たとえば古代エジプトのメレンプター王(紀元前十三世紀)のミイラのX線写真をみると
歯を支える骨(歯槽骨)が溶けてなくなって歯が抜けてしまった状態や
歯がグラグラになっている状態が認められます
この王様は歯周病で歯を失ったと考えられ
きっと歯周病に悩まされていたことでしょう
いろいろな古代人の歯周病の状態を比較すると
身分の高い人ほど病状がひどいことから
食べ物に恵まれ美食をしていた人ほど歯周病にかかっていたと考えられます
つまり歯周病は食習慣に影響されていたのです
一方、むし歯は、とくに砂糖の消費量と密接な関係にあります
むし歯の原因となる砂糖の入った食べ物の乏しかった旧石器時代はもちろん
古代エジプト時代でもむし歯はまれであったといわれています
日本でも、むし歯が問題になってきたのは江戸時代以降です
出典: 「歯にいいはなし」香川県歯科医師会 編
発行:医歯薬出版株式会社
元日本歯科医師会生涯研修委員会委員長・武部裕光 より抜粋
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