夏色のおもいで

Posted By on 2013年7月27日

 

heimyou

たしか小学5年の時だったか

中川温泉からの

学年サマーキャンプの帰りのバスの中を

遠足の時と同じように

明星」と「平凡」の歌本が回っていた

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まだ、カラオケなんかない時代

人気のヒット曲を誰かが歌いだすと

無伴奏合唱で大いに盛り上がる

いわゆる ア・カペラ

人気アイドルの曲を歌うことが殆どだったが

この

チューリップの3枚目のシングル

心の旅kokoronotabi

は、必ず行きも帰りも必ず誰かが歌いだす人気曲だった

そしていよいよ

ボクらのシートにも歌本が回ってきた(ドキドキ)

隣の席に座っていたマブダチは

乗り物酔いが酷く

バケツとビニール袋を持たされ

すでに前方の席(ゲロ難民エリア)へと

強制収容されていた

座席にひとりとなったボクは

チューリップの4枚目のシングルである

この曲が歌いたかった

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でもたぶん誰も知らないはずだ

この曲

あまりヒットしていないし

歌本でも後ろの方のページにひっそりと

「心の旅」より好きな曲なんだけど・・・

せっかく盛り上がってるこの雰囲気を

ここでどっちらけにしてしまったら

大顰蹙だ ヤバイ!

「早く歌えよ~誰の番だよ~」

クラスのみんながどんどん煽ってくる

どうしよう

そんな時

斜め向かいの補助席から

好きだったあの子が振り向いた

「ねぇ!誰かアキラのマネしてぇ~」

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仕方ない  隠し技をだすか

「フィンガー5」のレコードは全部持っていたし

家では妹に妙子役をやらせて

しょっちゅう二人で

部屋のベッドをステージ代わりに

母と祖母を観客にしてコンサートを開いていたから

歌本なんて見なくたって楽勝だった

「♪ あこがれ~のあのひと~は・・・」

当然のように

バスの中は一気に最高潮に達した!

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学校に着いてバスを降りる時

ゲロ袋を抱えてヘロヘロの

マブダチの肩を抱きかかえると

下からのぞき込むようにあの子がボクを見て

ニコッと優しく微笑んだ

その笑顔はもう今では思い出せないけれど

あの歌えなかったラブソングの事は

今でも夏が来ると必ず思い出す

ふるさとの懐かしい風のような

財津和夫のメロディ

甘酸っぱいあの頃を蘇らせる松本隆の歌詞

そして姫野達也のボーカルは

ボクの心の中に残る

数少ない夏の名曲なのである

 

About The Author

The Damnedやツネマツマサトシ、The Stoogesなどのカヴァー曲をリハーサルした後、初めてのライブをコイケミュージックホールで行なう。あまりにもメチャクチャで荒々しい演奏のせいで、わずか15分ほどで電源を切られTHE HOODLUMのデビューライブは終わった。そんな原点が今の活力!歯科医師としての情熱に繋がっている。

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