黒く塗りつぶすお話
Posted By Dr. Feelgood on 2014年8月25日
日本には「黒の化粧文化」ともいえる時代がありました
その代表的な例が、歯を黒く染めるお歯黒です
お歯黒は平安時代に女性が成人した印としてはじまったとされています
明治のころまで約一千年もの間つづき
女性だけでなく男性もお歯黒をした時代もあったのです
男性のお歯黒は公卿から生まれ
高い官位の象徴ともなり
のちに平家が台頭してくると
平家の武将たちもお歯黒をするようになりました
戦国時代になると豪気の気風に合わないためか
武士は次第にお歯黒をしなくなっていきますが
今川義元ら一部の武士はお歯黒をし続けました
白は色を変えられるが黒は変えられない意から
「武士は二君に仕えず」
という決意と誓いを示したのです
また、お歯黒の成分であるタンニンは
歯質タンパクを収れんさせて腐敗を防止します
事実、昭和51年当時
お歯黒を日常的にしていた最後の人といわれた
96歳になる秋田県のご婦人には虫歯がほとんどなく
50歳代の歯齢であったと伝えられています
実は現代でもお歯黒をしているようなお子さまを
たまに見かけます
むし歯の進行止めという名目で
一部の医療機関では使用しているようです
この薬は
昭和45年(1970)に厚生省製造許可された
フッ化ジアミン銀(サホライド)といいます
もともとお歯黒を参考に開発された薬なのです
美に対する意識も変わった現代には
とても時代遅れでかわいそうな口もとになってしまいます
七五三のお祝いの前やテレビ出演があるならば
当院ではその前に白く治してさしあげます
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