You talking to me?

Posted By on 2011年5月20日

昨年から診療チェアにモニターを取り付けた

レントゲンが撮影後、即座に映しだされるのはもちろん

今まで言葉だけでは伝わりにくかった検査方法や治療内容、術後説明、予防等を

クオリティーの高い3Dアニメーションで簡単に分かりやすく説明することができるので

衛生士のブラッシング指導や歯周病の説明にもとても役立つ

私が勤務医時代の20年前ではとても考えられない事だ

時は1990年 バブルが弾ける寸前

世の中が一番パンパンに膨らんでいた頃

私が当時勤務していた歯科医院は

山手線のとある駅ビルデパートの中にあった

当時民営化にはなっていたが、旧国鉄の嘱託医院だったので

毎日、多くのJRの職員とその家族

休憩時間のデパートの店員、そして引っ切り無しの買い物客で

四六時中待合室も診療室もごった返す

まるで野戦病院のような所であった

パーテーションもなければ

消毒室(オートクレーブなど消毒器具はある)も、技工室もない

隣の人が外した入れ歯とその顔を見て

そのすぐ隣で治療中の子供がビックリして仰け反る

BGMなんて流したって、ワイワイガヤガヤで全部かき消される

受付も今じゃ考えられない、小窓から覗き込むOLDStyle

面接をしてくれた女性が責任者だというので

院長だと思い込んで勤務しはじめたのだが

その人はそこの小窓から覗く受付の“おばさん”だった

先生、うちは患者さん多いから、診れば診るほど給料上がりますよ!

大学を卒業して数年、都内で一人暮らしをする私にとって

トレンディという流行渦巻く中

私を煽るこれほど魅力的なC調言葉は他になかった

実際の診療室

朝から晩まで歯を削り続け、抜き続け

差し歯を入れ続け、銀歯を入れ続け、入れ歯を・・・

若さゆえの劣情に身を任せ

1日にひとりで5,60人を診ているのが当たり前の毎日 

私はある日

大学の医局から夜だけアルバイトで来ている女医さんに尋ねた

院長はどこにいるんですか?

女医さんはプッと吹いて

あんたじゃないの?

それは映画『地獄の黙示録』の中で観た

「ド・ラン橋」のシーンによく似ていた

米軍最後の拠点であるド・ラン橋では指揮官不在のまま

つまり戦場下に措いて目的が判らぬまま

ひたすら闘争本能に任せて戦い続ける兵士達がいる

もはや彼等にはこの戦場に意味も信条も無い 

ただ目の前の敵を殺す事のみなのである

まるでそんな兵士と同じ私がそこにはいた 

院長不在 ただひたすら口の中だけ診続け 

一心不乱に、その診療ユニットに横になった患者様の

“ここが痛い”“こうしてほしい”に答えるだけ

患者様も説明なんていいから早くやってくれと

殺気立っていて怖かった

でも頑張って何度かチャレンジして

治療内容を丁寧に説明したつもりだ

 解りましたか?

そう伺うと

 答えは必ず

「えっ!オレに言ってんのかい?」

こりゃまたどこかで観た映画のワンシーンのようであった

http://youtu.be/X5QGr6ZzX6c

About The Author

The Damnedやツネマツマサトシ、The Stoogesなどのカヴァー曲をリハーサルした後、初めてのライブをコイケミュージックホールで行なう。あまりにもメチャクチャで荒々しい演奏のせいで、わずか15分ほどで電源を切られTHE HOODLUMのデビューライブは終わった。そんな原点が今の活力!歯科医師としての情熱に繋がっている。

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