“口内炎ができたっ”お話
Posted By Dr. Feelgood on 2011年8月10日
“口内炎ができた”
そう言ってお子さまがいらしたら
今の時期は真っ先に 【手足口病】を疑います
もうピークは過ぎたようですが、まだまだ安心はできません
原因:主にコクサッキーウイルスA16、エンテロウイルス71(EV71)
その他、コクサッキーウイルスA6、A9、A10などが原因になることもあります
感染経路:飛沫感染、接触感染、糞口感染が知られています
特に、この病気にかかりやすい年齢層の乳幼児が集団生活をしている保育施設や
幼稚園などではお子さま同士の生活距離が近く
濃厚な接触が生じやすい環境であることや、衛生観念がまだ発達していないことから
施設の中で手足口病の患者が発生した場合には集団感染が起こりやすいです
また、乳幼児では原因となるウイルスに感染した経験のない者合が高いですから
感染したお子さまの多くが発病します
臨床症状:感染してから3~5日後に、口の中、手のひら、足底や足背などに
2~3mmの水疱性発疹が出ます
発熱は約3分の1にみられますが、あまり高くならないことがほとんどであり
高熱が続くことは通常はありません。ほとんどの発病者は、数日間のうちに治る病気です
しかし、まれですが、髄膜炎、小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の合併症のほか
心筋炎、神経原性肺水腫、急性弛緩性麻痺など、さまざまな症状が出ることがあります
(特にEV71に感染した場合には、他のエンテロウイルスによる手足口病と比べて
中枢神経系の合併症を引き起こす割合が高いことが明らかとなってきています。)
また、手足口病の典型的な症状がみられずに
重症になることもありますので注意が必要です
予防:手足口病には予防接種はなく、また手足口病の発病を予防できる薬もありません
治った後でも、比較的長い期間、便などからウイルスが排泄されることがあります
また、感染しても発病はせず、ウイルスを排泄している人もいると思われます
これらのことから、発病した人だけを長期間隔離しても
有効な感染対策とはなりませんし、現実的でもありません
前述したように、衛生観念がまだ発達していない乳幼児の集団生活施設では
施設内での感染の広がりを防ぐことは難しいです
しかし、手足口病は、発病しても、軽い症状だけで治ってしまうことがほとんどであり
感染してはいけない特別な病気ではありません
これまでほとんどの人が子供の期間にかかって
免疫をつけてきた感染症であるということも知っておいていただきたいことです
一般的な感染対策は、接触感染を予防するために手洗いをしっかりとすることと
排泄物を適切に処理することです。特に、保育施設などの乳幼児の集団生活では
感染を広げないために、職員とこども達が、しっかりと手洗いをすることが大切です
特におむつを交換する時には、排泄物を適切に処理し、しっかりと手洗いをしてください
手洗いは流水と石けんで十分に行ってください。また、タオルの共用はしてはいけません
手足口病は、治った後もしばらくは便の中にウイルスが排泄されますし
感染しても発病しないままウイルスを排泄している人もいると考えられることから
日頃からのしっかりとした手洗いが大切です
治療:手足口病に特効薬はなく、特別な治療方法はありません
また、基本的には軽い症状の病気ですから
経過観察を含め、症状に応じた治療となります
しかし、まれに髄膜炎や脳炎など中枢神経系の合併症などが起こる場合がありますから
経過観察をしっかりと行い、高熱が出る、発熱が2日以上続く、嘔吐する、頭を痛がる
視線が合わない、呼びかけに答えない、呼吸が速くて息苦しそう
水分が取れずにおしっこがでない、ぐったりとしているなどの症状がみられた場合は
すぐに医療機関を受診しましょう
また、お口に似たような症状がでる疾患が他にもあります
【ヘルパンギーナ】
原因:大多数はエンテロウイルス
感染経路:接触感染を含む糞口感染と飛沫感染
臨床症状:潜伏期 2 から 4 日。発熱に続いて、口腔内に小水疱が出現します
発熱は数日で解熱し、それとともに発疹も消失します
予後良好ですが、まれに無菌性髄膜炎、急性心筋炎などを合併します
予防:感染者との密接な接触をさけましょう
流行時には、うがいや手指の消毒を励行しましょう
症状が消失した方は2 ~ 4 週間にわたってウイルスが便に排泄され
感染源になるため、排便後の手洗いを徹底しましょう
治療:対症療法で、脱水に対する治療が必要なこともあります
【咽頭結膜熱(プール熱)】
原因:アデノウイルス
感染経路:通常飛沫感染、あるいは手指を介した接触感染、結膜あるいは上気道から感染します
プールを介した発生の場合、汚染した水から結膜への直接侵入と考えられ
タオルを共用したことで感染が拡大したとの報告もあります
臨床症状:潜伏期5 から 7 日。発熱で発症し、頭痛、食欲不振、全身倦怠感とともに
咽頭炎による咽頭痛、結膜炎にともなう結膜充血、眼痛などを訴え
症状は 3 から 5 日間程続きます
眼症状は一般的に片方から始まり、その後他方にも出現します
予防:感染者との密接な接触をさけましょう
流行時にはうがいや手指の消毒を励行し、プールを介しての流行に対して
水泳前後のシャワーをしましょう
治療:対症療法
他にも帯状疱疹、 ヘルペス、溶連菌感染、はしか 、鵞口瘡などで
口腔内に病変が現われることがあります
全身的な疾患が原因と思われるものは
医科の先生をご紹介いたしますが
お口の中だけに気になる症状があれば
まず歯科を受診していただく事をお薦めします
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