lullaby of You

Posted By on 2011年8月8日

帽子

                                                                                                                                                      西条八十先生作 

–母さん、僕のあの帽子、どうしたでせうね?
ええ、夏碓井から霧積へ行くみちで、
渓谷へ落としたあの麦稈帽子ですよ。
–母さん、あれは好きな帽子でしたよ。
僕はあのとき、ずいぶんくやしかった。
だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。
–母さん、あのとき、向うから若い薬売が来ましたっけね。
紺の脚絆に手甲をした—。
そして拾はうとしてずいぶん骨折ってくれましたっけね。
だけどとうとう駄目だった。
なにしろ深い渓谷で、それに草が
背丈ぐらい伸びていたんてすもの。
–母さん、本当にあの帽子どうなったでせう?
そのとき傍に咲いていた車百合の花は、
もうとうに枯れちゃつたでせうね。そして、
秋には、灰色の霧があの丘をこめ、
あの帽子の下で毎晩きりぎりすが鳴いたかも知れませんよ。
–母さん、そして、きっと今頃は、–今夜あたりは、
あの渓間に、静かに雪が降りつもっているでせう。
昔、つやつや光った、あの伊太利麦の帽子と、
その裏に僕が書いた
Y・Sという頭叉字を
埋めるように、静かに、寂しく–。

 森村誠一氏の『人間の証明』に出てきた有名な詩である

映画化された時、中学の同級生と封切日に観に行った記憶がある

鶴田浩二(那須警部) ハナ肇(横渡刑事) 松田優作(棟居刑事)

もうみんなこの世にはいないんだなぁ

そして全盛期の角川映画では多くのジョーさんの歌声が聴けた

今でも心に残る名曲ばかり

合掌

About The Author

The Damnedやツネマツマサトシ、The Stoogesなどのカヴァー曲をリハーサルした後、初めてのライブをコイケミュージックホールで行なう。あまりにもメチャクチャで荒々しい演奏のせいで、わずか15分ほどで電源を切られTHE HOODLUMのデビューライブは終わった。そんな原点が今の活力!歯科医師としての情熱に繋がっている。

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