有馬記念
Posted By Dr. Feelgood on 2011年12月25日
1993年 (平成5年)
私はこの年の1月に杉山歯科医院を開業した
夢と希望に満ち溢れていた
93.2.22
その反面、はたして患者様が来てくれるのか
不安でいっぱいな気持ちを吹き飛ばす勢いで
我武者羅に休まず働いた
終戦記念日に診療していると
ご高齢の患者様から
“こんな日くらい休みなさい”
とお叱りを受けるほど だった
しかし、1日5人しか予約が入らない日もあった
心配で眠れない夜もあった
従業員の給料もままならなかった
だから必死で無我夢中に・・・
いつの間にか年の瀬となった
一本の電話が入った
週刊ポストの記者I氏からだった
“テイオー戻ってきますね 有馬来ませんか”?
その1年間、競馬のことなんてすっかり忘れていた
“それどころじゃないんです”
そういいかけて “いけそうだったら・・・”
と言葉を濁して電話を切った
3度の骨折を乗り越え1年ぶりに
あのトウカイテイオーがターフに帰ってくる
そう考えただけで
まるでテレポーテーションでもしたかのように
当日やはり船橋法典駅のホームに立っていた
鹿毛の白い流星、3本の脚に白いソックスをはいているような姿
その日の中山競馬場のパドックでも本当にうっとりするほど美しかった
第4コーナー手前で赤い帽子が外から上がっていった時
なんともいえないゾクゾク感で全身に鳥肌が立った
熱いものがこみ上げてきた
叩き合う2頭がゴール板を過ぎた頃
首から提げていたプレスカードに涙がこぼれた
I氏と握手をするのが精一杯だった
なんで涙が溢れてくるのか解らなかった
奇跡の復活を果たしたトウカイテイオー
まだまだ駆け出しの頃の私は
その勇姿に 心打たれた
苦しかった時代に勇気と力を与えてくれた
あの時の馬券は今でも大切な宝物だ
今年も 有馬記念の日がやってきた
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