うなダレ丼 のお話

Posted By on 2012年7月27日

 

うなぎを食べると 必ず遠い或る日の事を思い出す

以前

“はじまりはいつも雪”のお話

にも書いたように

大学に入ると地元タウン誌や

街角の楽器店、レコード店にメンバー募集のチラシを貼り

すぐにバンドを結成した(1983年)

(以後メンバーチェンジを繰り返し6年間活動するのであるが・・・)

ドラムの“サンダー”は歯科大のクラスメイトだったが

ギターのK太はギター工場で働く16歳

ベースのアキラは進学校の高校1年生


 アキラ    K太            サンダー

いつもの薄汚れたクラブハウスのプレハブ小屋で

毎日毎日歌い続けた

夜中まで歌った

みんな いつも 腹を空かしていた

俺たちは 実際 金が無かった

車もまだ持っていなかった 

仕送りは底を突き  

朝から菓子パンだけの腹が鳴る

もう真夜中だ 横になれば空腹も消えるだろう

サンダーがアキラを送って行った

K太をメシに誘いたかったが無一文 タバコでごまかした

「うちの寮に来る?おかずはないと思うけど

ごはんなら残ってるかもしれないから」

K太はギター工場の寮に住み込みで働いていた

住人は数名だが、毎晩賄いのおばちゃんが

食事を作りに来てくれるのだという

スクーターを飛ばして となり町にある寮へ向かった

初夏とはいえ 信州の夜風に革ジャンはほどよい

他の住人を起こさないよう 静かに潜り込むと

一目散に小走りで食堂へ直行し K太がジャーの蓋を開けた

小さくガッツポーズをして 味噌汁の鍋に火を入れた

「やっぱおかずはなかった ごめん」

「いやいいよ コメが食えりゃあ なんもいらねぇ」

「あっそうだ!! いいものがあった!」

K太がからっぽの冷蔵庫から何かを取り出した

「昨日丑の日だったから 寮食“うなぎ”だったんだ」

もちろん“うなぎ”はあるはずもない

まるで宝物でも掘り当てたかのようにニコニコしながら

四角いボトルに入ったうなぎのタレを

鈴を振るように小刻みにゆらしながらテーブルの上に並べた

特盛のどんぶり飯にタレをふりかけた

箸が止まらない

言葉が出ないほどかっこんでいた

三分の一くらい食べたら またふりかけ

どんな料理よりも うまかった

2杯目の途中でタレがなくなると

油揚げの味噌汁から取り出した

汁をいっぱい含んだ油揚げをご飯に乗せ

うんまいね うんまいねw

 

今日もそんな夏を思い出して

うなぎを食べています
ザ・スターリン – メシ喰わせろ!【LIVE】 投稿者 kikeiningen

 

 

 

 

https://youtu.be/QDAC7Fl2p9I

About The Author

The Damnedやツネマツマサトシ、The Stoogesなどのカヴァー曲をリハーサルした後、初めてのライブをコイケミュージックホールで行なう。あまりにもメチャクチャで荒々しい演奏のせいで、わずか15分ほどで電源を切られTHE HOODLUMのデビューライブは終わった。そんな原点が今の活力!歯科医師としての情熱に繋がっている。

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